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岩波書店
グループ:Book
ランキング:105481
価格:¥ 1,365
発売日:2008-09-17
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源氏物語の創作意図を探る
(2008-11-25)
源氏物語の創作過程の論考が主なテーマの本。
成立論として、源氏物語の全五十四帖をa〜d系の四つに分けて論考されますが、これに少し戸惑いを感じたり、この本にとっつきにくさを感じた場合は、「光る源氏の物語」(中公文庫)を事前に読む事をお勧めします。(こちらは、丸谷才一氏との対談本)
ですが、対談では語りきれない内容が、この本にはこめられています。
紫式部が、自分の書く内容やニュアンスを表す言葉が当時の日本語に無かったために、おこなった言葉の工夫。そして、紫式部の文章における美意識など、国語学者ならではの分析に沿っての解説がされています。
他にも、源氏物語の創作において、テーマが「致富譚→男女のくい違い」という風に変化をしていくこと、作品の裏にある紫式部の漢籍に対する教養や、紫式部個人の女房づとめの経験が作品にどのように反映されていったのかが、「紫式部日記」との関連で分析されます。
著者は、自分は「源氏物語」の専門家ではない、というような断りを入れていますが、最後まで真面目で手抜きの無い論考がなされています。
とても面白い本でした。
「源氏物語」の4つの部分
(2008-10-20)
素晴らしい「源氏物語論」です。
先ずは、言語学的なアプローチで、助詞や形容詞、形容動詞を分析して行きます。
その結果として、「源氏物語」の成立時期を4つの時期に分解します。
1)本編とも言える部分で、桐壺から予言が実現し女性たちが六条院に集結し大団円を迎える藤裏葉まで。
2)その本編の列伝とも言えるもので帚木から真木柱までの卷で、本編に挿入されている部分。
3)若菜上から幻までの八巻で、光源氏の死ぬまでの部分。
4)所謂「宇治十帖」で、光源氏以降です。
作者は、この4つを言語的な用法、表現の仕方、その制作意図、そして紫式部の私生活の変化から、分析してゆきます。
この分析の論理性、説得力には、文句の付けようがありません。ただただ「なるほど。」と頷くばかりです。
それは、紫式部と「源氏物語」の関係を紐解くミステリーのようなもので、その筆力にぐんぐん引き込まれてゆきます。
特に、私生活の追究の中で「紫式部日記」に対する分析は、あっと言わせられました。
「源氏物語」を改めて読み直さなければと思わせる素晴らしい評論でした。

