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朝日新聞社
グループ:Book
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価格:¥ 588
発売日:1999-11
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優れたルポタージュ
(2006-12-27)
様々な極限を経験した人が、どのような精神状態に置かれるのか、ということに元々興味があり、そういう意味では、言葉は悪いが、「興味本位」で手に取った本書。いまだに日本では表沙汰になりにくい、子供への、必ずしも猟奇的でない性犯罪の被害者を扱った、基本的にはルポタージュである。その傾向のアメリカの情報には、よく接しているためか、個人的には免疫が出来ており、体験談なども、拒否反応を持たずに読めてしまった。
性にまつわる深刻な問題というのは、公で話すのがはばかられるため、問題を抱えた人間は、非常に深い悩みを、個人的に抱えることになる。この書で繰り返し語られるが、性犯罪の被害者となった子供は、肉親を含む周囲に信じてもらえなかったり、いわれもなく、「問題をつくり出したもの」として扱われ、逆に攻撃を受けたりすることにより、心を閉ざしていく。しかし、同じような苦い体験をし、苦しんでいるのは、自分だけではないという事を、何らかのきっかけで知ると、そこから突破口を見出すことも多いという。それゆえ、こういう本は、臭い物には蓋をするだけで、臭わぬかのように振る舞ったり、物が腐らぬようにすることも、真の意味では怠りがちな、日本の社会では、存在するだけで意味がある。筆者の真意も、そこら辺の受け皿になることにあるようである。
ただ、子供への性犯罪という深刻な問題を包括的に見たい読者は、加害者の生まれる背景などへの情報や、著者の考察に、物足りなさを感じるだろう。どのような環境や人間が、子供への性犯罪を生みだすのか。そこら辺をもっと掘り下げたい場合は、他の著作もあたる必要がある。
目を背けることなく
(2004-07-03)
私が読んできた本の中で、読後の後味の悪さといったら指折りの一冊です。本書を読んだ後しばらくは、どうも憂鬱な気分が抜けず、それは読み返すたびにまた新たに襲ってくる。まったく、ボディーブローのような腹に来る重さです。
それは、子供への虐待。しかも性的なそれを本書が主題としているからにほかなりません。ここに語られている著者の取材の結果は、将に戦慄すべきというのがぴったりです。しかもそれが非常に淡々と語られているのがとても恐ろしい。殴る蹴るの虐待なら、昨今よく取り上げられ、社会問題として知られており、それに対する認知もある程度行われているように感じますが、親が子を犯す、このような類の虐待はニュースではほとんど見ません。認知しようにも生理的にそれを許さない、というところがあるのでしょう。ただの暴力なら客観的に見られることでも、性的な問題となると何か眉をひそめるだけではすまない部分が、私たちの中にはあるように思えてなりません。どこか他人事では済ませれないものを感じて、「無かった事」にしてしまいたい衝動に駆られる。
しかし、本書はそんな企てを水滴が岩を撃つように削り取ってしまいます。それでもあなた、見ないことにするのですか?とじわじわと迫られて、読んでいるうちに直視せざるを得なくなり、読んだ後はへとへとになってしまっているのです。ルポタージュであり、体系的に性的虐待について論じているわけではありませんが真に迫っていると感じました。
本書を手に取った人がみな虐待に対して立ち上がる必要は、必ずしも無いと思います。しかし、著者も言われているように、ひょっとしたらあるかもしれない、という意識は重要です。私たちの精神衛生を維持するために捧げられる人身御供は、一人でも減らさなければいけない。

