アイテム詳細
EMIミュージック・ジャパン
グループ:Music
ランキング:27367
価格:¥ 2,850
ポイント:28 pt
発売日:2008-06-25
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曲目リスト
1.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 1.合唱:来たれ、汝ら娘たちよ~コラール:おお罪なき神の子羊
2.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 2.レシタティーフ:イエスはこれらの言葉をすべて語り (福音書記者/イエス)
3.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 3.コラール:わが最愛のイエスよ
4.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 4.レシタティーフ:そのとき、祭司長たちや民の長老たちが (福音書記者)
5.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 5.合唱:まつりの間はなすべからず
6.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 6.レシタティーフ:さてイエスがベタニアで (福音書記者))
7.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 7.合唱:何故かくみだりなる費をなすか
8.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 8.レシタティーフ:イエスはそれを聞いて彼らに言われた (福音書記者/イエス)
9.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 9.レシタティーフ:汝、愛しまつる救い主よ (アルト)
10.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 10.アリア:悔悛と悔恨 (アルト)
11.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 11.レシタティーフ:時に、十二弟子のひとり (福音書記者/ユダ)
12.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 12.アリア:血を流せ、汝わが愛する心よ (ソプラノ)
13.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 13.レシタティーフ:さて除酵祭の第一日に (福音書記者)
14.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 14.合唱:過越の色をなしたもうために
15.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 15.レシタティーフと合唱:イエスは言われた。~主よ、我なるか (福音書記者/イエス/合唱)
16.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 16.コラール:我はそれなり
17.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 17.レシタティーフ:イエスは答えて言われた (福音書記者/イエス/ユダ)
18.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 18.レシタティーフ:我が心いかに涙にくもるとも (ソプラノ)
19.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 19.アリア:我が心を汝に捧げん (ソプラノ)
20.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 20.レシタティーフ:彼らは、賛美を歌った後 (福音書記者/イエス)
21.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 21.コラール:我を認めたまえ、わが守り主よ
22.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 22.レシタティーフ:するとペテロはイエスに答えて言った (福音書記者/ペテロ/イエス)
23.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 23.コラール:我ここで汝の傍に立たん
24.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 24.レシタティーフ:それから、イエスは彼らと一緒に (福音書記者/イエス)
25.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 25.レシタティーフと合唱:おお痛みよ(テノール)~かかるすべての苦しみの源は何か
26.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 26.アリアと合唱:我がイエスの傍にて賞めおらん(テノール)~さらば我らの罪は眠りに入らん
27.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 27.レシタティーフ:そして少し進んで行き (福音書記者/イエス)
28.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 28.レシタティーフ:救い主は御父のみ前にひれ伏し (バス)
29.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 29.アリア:我は喜びて従わん (バス)
30.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 30.レシタティーフ:それから弟子たちの所に来てごらんになると (福音書記者/イエス)
31.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 31.コラール:わが神の望みたもうところ
曲目リスト2
1.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 32.レシタティーフ:また来てごらんになる (福音書記者/イエス/ユダ)
2.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 33.二重唱と合唱:かくてわがイエス今や捕らわれたまいぬ (ソプラノ/アルト)~放せ、やめよ、縄かくるな
3.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 34.レシタティーフ:そして視よ、イエスと一緒にいた者の一人が (福音書記者/イエス)
4.マタイ受難曲 BWV.244 第1部 35.コラール:おお人よ、汝の罪の大いなるを欺け
5.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 36.アリアと合唱:ああ、今やわがイエス去りたまいぬ! (アルト)~おお、汝の友は何処に行きしや (合唱)
6.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 37.レシタティーフ:さて、イエスをつかまえた人たちは (福音書記者)
7.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 38.コラール:世は我をあざむき裁きぬ
8.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 39.レシタティーフ:そこで、多くの偽証者が出てきたが (福音書記者/証人/大司祭)
9.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 40.レシタティーフ:偽りの作りごとに (テノール)
10.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 41.アリア:忍耐、忍耐、偽りの舌我を刺す時 (テノール)
11.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 42.レシタティーフ:そこで大司祭は~彼は死に当たれり (福音書記者/大司祭/イエス/合唱)
12.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 43.レシタティーフと合唱:それから、彼らはイエスの顔につばきをかけて (福音書記者)~キリストよ、彼らに予言せよ (合唱)
13.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 44.コラール:誰が汝をかくも打ちしや
14.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 45.レシタティーフと合唱:ペテロは外で中庭にすわっていた (福音書記者/2人のお手伝い/ペテロ)
15.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 46.レシタティーフ:彼は激しく誓いはじめ (福音書記者/ペテロ)
16.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 47.アリア:憐れみたまえ、わが神よ (アルト)
17.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 48.コラール:我直ちに御前を退けど
18.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 49.レシタティーフと合唱:夜があけると~われら何ぞあずからん (福音書記者/ユダ/合唱)
19.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 50.レシタティーフ:彼は銀貨を聖房に投げ込んで (福音書記者/司祭長I、II)
20.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 51.アリア:わがイエスを再び我に返せ (バス)
21.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 52.レシタティーフ:そこで彼らは協議の上 (福音書記者/ピラト/イエス)
22.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 53.コラール:汝の道を主にゆだねよ
23.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 54.レシタティーフと合唱:さて、祭りのたびごとに~バラバなり~十字架につくべし (福音書記者/ピラト/ピラトの妻/合唱)
24.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 55.コラール:驚くべきかな
25.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 56.レシタティーフ:しかしピラトは言った~彼何の悪事をなしたか (福音書記者/ピラト)
26.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 57.レシタティーフ:主は我らにすべての善きことをなされぬ (ソプラノ)
27.マタイ受難曲 BWV.244 第2部 58.アリア:愛によりて我が救い主は死なん (ソプラノ)
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偉大な「マタイ受難曲」
(2008-12-22)
クレンペラーは宗教音楽を得意としていた。いや、得意としていたというよりもクレンペラーが創る音楽が、楽曲の精神を媒介する使徒たらんとする指揮者の全個性を刻印していると言ったほうがより正確かもしれない。彼の指揮したものを聴くと、クレンペラーだとすぐに分かるようなものが多く、それはどの曲に対してもその曲に適した表現をするのではなく、曲がクレンペラーによって一度還元され再び彼の全個性によって再創造されているからである。フルトヴェングラーもそうなのだが、しかし二人の個性は相反する。けれども、最も深い部分では二人の個性は一点に交わる。つまり、「精神」という点である。
この「マタイ」は晩年のクレンペラーの宗教音楽録音の最初に当たるものであるが、この時期のフィルハーモニア管弦楽団は絶頂期であった。クレンペラーの下では彼らの奏でる音楽が当代一流の管弦楽団に比肩する、もしくはそれ以上の高みにあったのは想像できるだろう。この録音の三年前(1958年)にはあの伝説的なリヒターの「マタイ」が録音され、クレンペラーはそのことを知っていたのであろうか。リヒターの演奏は厳格なリズムと拍節を基礎として、楽曲の本質を内面的に抉り出すものであるが、このクレンペラーの演奏は「マタイ」という殿堂と真摯に向き合う一人の巨大な個性によって表現されたものである。テンポは悠揚迫らず、曲によっては遅すぎるというものもなくはないが、巨大な楽曲での説得力の強さは他に比肩するものがない。
例として、冒頭合唱、第一部終結コラール、そして楽曲の終結合唱は大河の如く押し寄せる圧倒的な感動に襲われる。同じ事がすべての「コラール」にも言え、祈りの深さはリヒターのをも凌いでいる。「アリア」は遅すぎてもたれる曲も二、三あるが、逆に遅いがゆえに限りなく美しい演奏もある。例えばブルーノ・ワルターが絶賛したと言われる「ピラトの尋問」の最後の部分であるソプラノのアリアなどである。歌手たちは総じて素晴らしく、特に福音史家のピアーズ、イエスのディースカウ、アルトのルートヴィヒはずば抜けている。ソプラノのシュヴァルツコップは若干作為的な歌唱の部分があり、この純真な「マタイ」に合わないような気が私にはするが、悪いというほどではない。そして、最後にクレンペラーの非凡な個性がこの大曲をまとめ上げていることを言っておかねばならない。イエスの死の前と後では音色も含めて全く異なる色合いを帯びている。死の前では、死に向かうイエスとそれを見守る者たちの痛烈な悲しみや憤りが色濃く表現されているのだが、死の後は清浄なものになっている。そして、「イエスは本当に神の子だった」の部分では、リヒターのように内的なドラマとしてではなく、あくまでも一場面として簡潔に表現している。つまり、聖書に基づく部分では叙事的な演奏を行っているのである。この個々の楽曲の描き分けの素晴らしさもこの「マタイ」の一つの特徴と言えるだろう。
このクレンペラーの「マタイ」は単なるドラマを超えた偉大な宗教音楽の殿堂であることを私たちに教えてくれる遺産である。

